お気に入りの和菓子屋さんが店じまいして空き家になっていた場所に、はちみつやさんが熊本から進出してきました。
「熊本から道後にきたの?」
「はい。観光地が好きなもんで。
目標は日本中の観光地に出店することです」
と答えてもらった質問を尋ねた気持ちの裏には、伊予の国も南の方では養蜂業が細々と生きているから。桜のはちみつも食べたことがあるし、里山のはちみつという野趣に富んだはちみつも食べたことのある私には、「乗り込んできた!」と言う感覚がありました。どうも、かなり大規模な経営をしているようで、伊予の国の細々とした養蜂業は相手にはなりそうにないくらい大きな養蜂業者さんのようでした。
あれこれ舐めさせてくれました。
子供のころ、町の外れに名前も「蜜屋」とそのまんまだったと記憶しているはちみつやさんがありました。れんげにアカシア。みかん。が、わが家のいつもの味で、子供心には、はちみつやカリンを薄切りにして漬けたのが不思議な雰囲気で魅力的に映っていました。ニンニクを漬けたものとか、マニアックなものもあったように記憶しています。そして、れんげとミカン以外のほとんどのはちみつには「中共産」と書いてあって、それが中華人民共和国なのだと知るのにちょっと時間がかかりました。
私の頭には、アカシアは中共産だと思っていたのだけれども、このお店のアカシアは北海道産とのこと。中国というとハルピンの町にもアカシア並木があったとか。寒い土地に育つものなのでしょうか。
アカシアの透明で素直な味のはちみつはこども時代の朝ご飯を蘇らせました。
で、買ったのは懐かしい味のものではなく、珍しい風味のこの菩提樹。
桜とかミカンに比べると、里山のはちみつにちょっと似た香りに心魅かれました。店頭で売っていたハチミツソフトクリームに魅かれてお店に入ったのに、はちみつを沢山舐めて満足してしまったと言うオチがついたのでした。
少しずつお湯で割って楽しみたいと思います。