2ですっきり割り切れる偶数はわかりやすくて好きなのだけど、今、日常を脱出するために来たカフェは「あまり」だらけの空間。
好きだからと言わんばかりに入り口にはクリスマスツリー。壁には所狭しと飾られた鮮やかな色彩でざざっと描かれた絵や雑貨。BGMはロシア民謡っぽい乾いた音楽。
ここは国勢調査の職業欄に「愛人」と書いてもおかしくない色っぽさを匂わせる女性がさりげなく構えた愛の巣のような雰囲気を、健康的に漂わせている。
わり算のあまり達がくれるのは偶数には持てない生命のおおらかさ。それは一口ごとに明日はまた、まっさらな1日なのだと気持ちの余裕に化学変化していく。