で、まんまとだまされて手に取ったのは小説「植物図鑑」。
本が好きでちょっと面倒くさがりの一人暮らしの人間に、
こんなに、素敵なシチュエーションはないなあ、というおとぎ話。
「拾ってください。
咬みません。しつけの出来たよい子です」
家の前に、そんなことをいう、見栄えのいい青年が
行き倒れてたら、、、というお話。
いわゆるイケメンの彼は、雑草に詳しい。
「世の中に雑草と言う草はありません。草にはみんな名前がついているのです」
とは、昭和天皇のお言葉だとか。
道端の草の名前を沢山知ってて、その食べ方も知ってて。
あたしにも、草の名前を教えて欲しいなあ、と思わされるのは、
歴史やサスペンスや海外旅行を背景とした小説では生まれない、
ほのぼのとした暖かさ。そして、胃袋に詰め込める愛。
松山は好きなのだけど、
見慣れた草しか生えていないのが残念でもあります。
前にいた南予には見たことのない草がいっぱい。
時に小さな花。時に香りばかりが素敵な花。
つやつやしたキレイな葉っぱ、、などなどとの出会いの瞬間は
今も恋しいものたち。
わが家の前にもお利口でイケメンの行き倒れ、
倒れてないかなあと、
本好きの妄想を刺激する一冊でした。