吾妻鏡(下)―マンガ日本の古典 (16)
竹宮 恵子 / / 中央公論社
えと、、、こんなものを読んでいる場合じゃあないでしょう。。。
というのは、わかってて、逃避してます。情けないヤツです。
吾妻鏡、つまり鎌倉幕府創成期の物語を竹宮マンガで見られる。
というものです。
大事なイベントを前にして鼻水と咳が止らないので、なんとか気持ちを切り替えたくて手に取りました。昔から貴族社会から武家社会に切り替わるこの時代は、世の中のいやな仕事を押し付けられ身分の低かった武士たちが、自分たちの生きる誇りとルールを築いていった鎌倉幕府が生まれるまでの物語として心魅かれていました。実家の呉には平清盛が沈む夕陽を扇で舞い上げると言う像があって、ちょっと頑張って遠出するとその清盛が造営した厳島神社(宮島)があって、気持ち的には滅んでいった平家贔屓で、でもねえ、清盛があったから武家社会は自立出来たのよぉ、と、常々思っていた身にも、この源氏、北条氏の目からみた物語である吾妻鏡は新しい時代が生まれる強さも痛みも輝きもみんな詰まっていました。
理想を現実にするシステムを重視した源頼朝。そして、そのシステムを理解出来ないけれども純粋で戦の天才の源義経の兄弟のすれ違いを始めとして、「ひと」がどのような動機でどのような決断を積み重ねていくのかと言う事実を簡潔な文章で綴った物語が私の大好きな絵柄で生まれ変わっているのです。しかも上質紙をきちんと使っている手触りが素晴らしい。普通のマンガは単行本でもコストのためかザラッとした紙を使うことが多いので、手触りのよさも本の魅力だと再発見したのでした。
さて、鼻水と咳はどうなるでしょう。追いつめられた気分を克服するのは本当に難しいです。そこを越えられるか、越えられない凡人で終わるのか。それが、生きていく上での課題だったりするのかもしれません。吾妻鏡の中の頼朝は、やすやすとそう言う小さなことを乗り越えているように見えたけれども、さてどうだったのでしょう。