笑顔と言うものはとても染み込むのだ。そして、GLAYと言うバンドは笑顔が似合う。
ただ、それは決して見返りや対価を期待する営業スマイルではないのだ。それが想像以上の力を発信してくる原動力になり怒りや悲しみを跳ね返すこともあれば、迷いの答えを出してくれることがある。そして、ボーカリストはそれを意識してかせざるかはわからないとだけど、客席の笑顔がまた嬉しくて素直に笑顔になれる人なのだ。
このジョイントライブは違っていた。彼は開演した瞬間からただステージに居ること自体が嬉しくて仕方ないようだった。客席の笑顔を吸い込んだのではなくて自分の中から、嬉しくて嬉しくて嬉しい気持ちがあふれ出していた。
35歳の大人になってもなお憧れて止まない人がいる幸せ。
MSのレポによると彼は緊張しすぎて「早く終わって欲しい」とさえつぶやいたのだと言うのだ。彼の凄さは、ここにあるのかもしれない。彼はロックスターと上京したばかりのバンドキッドとを自由に行ったり来たりすることができてしまうのだ。USJエキスポのHOWEVERのようなピュアな涙をステージの上で流すことができるように。
緊張がレッドゾーンに突入した瞬間、彼はその緊張を氷室さんにポンと預けてしまったかもしれない。今日は氷室さんがいるから大丈夫♪・・・こんな風に頼ることがさりげなくできてしまうのは誰にでも可能なワザではないだろうなあと、今思い出すと気づくのだ。
だから、GLAYファンはこのボーカリストを愛し、だからシビアなロックファンは彼の持つ無色透明さを「ロックでない」というわかりやすい言葉で表現することで自分たちの持つ理想のロックの鋭角的な姿を保とうとするのだろうか。
私たちのTERUちゃんは、どこを取ってもカリスマと言うロッカーではなくて、MCなんてまあ、ボケボケだったりするのに、私たちの気持ちを吸い上げる力はぴかいち。
その彼が氷室さんにあやかり、この度は客席の熱を受け止める以上に自分を表現した夜だったのかもね。
氷室さん、素晴らしいチャンスのありがとう!
SWING ADDICTION←公式サイト