今、BSで放送している。高峰秀子さん主演の映画。
この島の舞台が父の里なので、寒霞渓とかその時代には私は生まれてさえもなかったのに何となく懐かしい映像。
映像だけでなくてそこに流れる、強い反戦思想や貧困への怒りに近い目、という映画の持つ「心」にも影響を受けてたんだなあと今更に思う。気を使っているようで、自分の気持ちと正義を押し付けてる大石先生の態度を知らず知らずに目指してきたな、あたし。とも気付いて、ちょっと苦笑。(大石先生だから許されるし認められるのだわ。)知らず知らずに30年以上私は大石先生と言う人を目指してたみたい。
あの映画が大人気を博したのは、最初に公開された昭和29年と言う時代に戦争に負けた焼け野原の街で生きて復興を目指していながらも悲しさや悔しさをとても消化できない多くの人達の、敗戦を無かったことにしたい気持ちをすっぽりと汲んだところがあったからなのかもしれないなと感じたのだけど、登場人物達はみんなどこまでもピュアだ。戦後の日本を支えてきたのは、そのピュアさを我が身として感じられる多くの人の志だったのかもしれないとも、映画の時代を越えてふと思った。
若くして亡くなった私のいとこが「日本が戦争に負けたのは軍歌が短調だったのがいけない」等と冗談で言っていた。どうにかしたら過去が変えられたかもしれないと言う思いを人はどうしても持つだろう。でも、どんな悲惨な過去もその時代を生きた人はその人達なりの未来への希望を抱いていたのだろうし、その希望こそが復興という大事業を成し遂げさせたことへの敬意を忘れないでいたい。
白黒なので着物とかを色つきで見たいなあ、と思う華やかな模様の着物達。
あの時代の「空気」を持ち続けていると言う意味でやはり今見ても良い映画なのだなと思った。