懐かしい人に住所変更のお返事をいただきました。
薄青のインクの万年筆で綴られた封書。
そそっかしい私にはまねできない書き損じのないきれいな書面。
社会人になってまだ早いうちに勤務した職場の、
雇い主の奥さまからです。
しばしば誘われた食事で作ってくれるお味噌汁は大きめのお椀に入ってて、
ぜんまいの煮物や、お漬物が好きだから、
食事に誘ってくれる時はいつも
「お漬物しかないけどいらっしゃいませんか?」という言葉でした。
実は、一羽丸々のローストチキンや、
程好く火の通ったローストビーフも上手なので、
ときには気張ったおご馳走にも招待してもらいました。
わたしが交通事故を起こした時にも食事をだしてくれたけど、
ずっとお説教を聞きながら食べたものです。
こんな感じで思い出が、食事に繋がる人の一人です。
実はセレブな人で、セリーヌやフェラガモやレオナールの、
ブラウスにスカートを普段から着ていらしたうえに、
職場の制服も神戸ファミリアにそろえる気合いの入りようです。
どんな忙しい時でもきっちりアイラインをひくことを
忘れない人でした。
添えられた、
「昔、一緒に働いた人に思い出してもらえるのは喜びです」
ということばに、こころが温まるお手紙でした。
いつも便利さについ、メールで済ませてしまうのだけど、
TAKUROくんがいつもいうけど、手書きの文字は、
気持ちが浮かび上がってくるものですね。
お手紙やハガキを書ける余裕、持つぞ、と、
きっと無理にちがいない決意をしてみるのでした。